昨年は一昨年ほどCDを買わなかった。そのことは前回のレコード・オブ・ジ・イヤー2020でも書いたが、CDのポテンシャルの高さは認めつつも、LPの方が所有欲を刺激するということなのだ。
とはいえ最近はともかく90年代後半から2010年頃までは世の中(とりわけ日本では)CDの時代でLPがリリースされることはほとんどなかった。この間のパッケージメディアはCDSACDかカセット(またはMD)しかない。LPを買いたいといっても無理なのだ。(と言いながら全然違う時代のCDを買ってますが…)

 

洋楽部門
P1070233
スティーリー・ダン『Aja

スティーリー・ダンの最高傑作の呼び声高い名盤。多分何度もリマスターされているんだろうなあと思いつつ110円で買ったこのCD(廉価な輸入盤)がいつ頃のものかよくわからなかった。当然高音質盤ではない。それでも十分満足できる演奏(音)だった。音のクオリティの高さはさすがである。ドナルド・フェイゲンはこのアルバムの次の「ガウチョ」の後、ソロで世紀の名盤「ナイト・フライ」をリリースすることになる。

 

邦楽部門
P1070240
柴田淳 『オールトの雲』

柴田淳のファーストアルバムだが音楽は熟練の域に達していると思った。男性の一人称で語られるファーストシングル「ぼくの味方」は切なくて良い曲。

アルバムタイトルのオールトの雲とは太陽系の最外縁部にあると想定されている、物質が雲状に存在する場所のことである。柴田淳の意図はわからないが(わからんのかい!)天文好きやSF好きは「おっ」と思うタイトルだ。彗星はオールト雲で生まれる(オールト雲の物質が核となり太陽に向かって落ちてくるのが彗星)ともいわれているし、太陽系から出ていく船がオールト雲の水素を積み込んで出発するといった描写がSF小説にあったりする。(自分はヴァンアレン帯という言葉にもドキドキする←変態)

 

 

クラシック部門
P1070226
エリック・カンゼル指揮 シンシナティ交響楽団 序曲1812年(チャイコフスキー)

クラシックに名盤は数あれど演奏以外が話題になる作品もまれに存在する。このテラークの「1812年」は実際の大砲をぶっぱなし、その音のダイナミックレンジが広すぎてスピーカーをぶっ壊したといういわくつきのCDである。(ライナーノートに注意して再生するように書いてある)デジタル録音ではあるがLPレコードが発売(78年)されていて、そちらの方は溝の彫り方が半端なく、普通のプレーヤーでは100%針飛びしたそうな。調整して完奏することを多くのマニアが目指していたといわれている。

ジャズ部門
P1070241
ジョン・コルトレーン 『ソウル・トレーン』

コルトレーンは新音源が発見され、リリースされたり、相変わらず人気が高いが、これは初期の名盤。モノラルである。いうべきことはあまりない。

 

アイドル部門
P1070230
渡辺美里 『Lovin’ you

渡辺美里はアイドルかというと違うと思うが、このセカンドアルバムの頃はアイドルっぽい売り方をしていたように思う。(無理やり~IKKO)

このアルバムはLP(2枚組)を持っていてそれと聞き比べるためにこのCD(2枚組)を購入した。

セカンドアルバムでこの規格は破格だろうと思う。LP2枚組(三面ジャケット仕様)は実に定価4200円だった。全20曲。直前に「マイ・レボリューション」の大ヒットがあったとはいえこれはすごい。CD2か所にライナーが入れられるトリプルジャケットになっている。(当時、この仕様だったのはサザンの『Kamakura』と浜田省吾の『J-Boy』だけだったそうBy Wikipedia)
P1070229
トリプルジャケット仕様

「マイ・レボリューション」が収録されている。小室哲哉の初期(1986)の代表作の一つだが、実はアレンジは大村雅朗が担当している。(このアルバムのほとんどが大村アレンジ)あの印象的なイントロはどちらが作ったのだろうか?小室哲哉がプロデュースで頭角を現すのは90年代になってからということか。良くも悪くも80年代の元気がいい楽曲が並ぶ。

 

サントラ部門
P1070251
『トップガン サウンドトラック』リミックス版

初期のCDに曲を追加してリミックスした決定盤らしい。(他にもBlue Spec CD盤もあるそう)今は亡きケニー・ロギンスの「デンジャー・ゾーン」やベルリンの「愛は吐息のように」が収録されている。

80年代ドン・シンプソンとジェリー・ブラッカイマーのコンビは「フラッシュダンス」を皮切りにヒット作を連発していくが本作も売り出し中のトム・クルーズを起用して(内容は薄いが)大ヒットした。その大きな要因として楽曲のヒットもあっただろう。映画のサントラ盤が歌入りの曲ばかりになっていくのはこの辺りから。

「フラッシュダンス」は主演ジェニファー・ビールスだが主題歌「What a feeling」の歌唱はアイリーン・キャラ。世界中でヒットし日本でも話題になった。映画館に見に行ったが当時、地方では2本立て上映が一般的で、「フラッシュダンス」の同時上映は「愛と青春の旅立ち」だった。どちらが良かったかは言うまでもない…